祝コントレイル3冠 しかし。。

10月25日の菊花賞

コントレイル、てっきり数馬身差で圧勝と思っていたら、条件馬のアリストテレスに首差まで迫られました。3着馬(サトノフラッグ)は3馬身半離しましたから、アリストテレスの激走だったのでしょうか。しかし、ラスト1ハロンは12秒2。これはコントレイル自身のラップです。仮に11秒9で走れば2馬身突き放していたのに、、最後は余力が残っていなかったことを示しています。レース直後は、ちょっとショックでした。3冠達成とはいえ、辛勝だったことが。。

 

もっとも、道中はアリストテレスに半馬身ずっとかぶせられていました。誘導馬(?)ディープボンドの斜め後ろをとっていたことが裏目に出で、ずっとかぶせられっぱなしでした。福永騎手のレース直後の声がマイクに入っていましたが、池添騎手に対し「クリストフがさあ。。」と言っているのが聞こえました(笑)。更にその後矢作調教師に「疲れたでしょ」と声をかけられると「向こう正面で疲れちゃった」とこぼしていました(笑)。インタビューでは紳士的にしゃべっていましたが、彼の本音は相当なプレッシャーを感じ、いらいらしていたのでしょう。馬も結構カリカリしているように見えましたが、騎手の方も相当だったようです。騎手の勝負ではルメールの完勝でしょう。それにもかかわらず、ルメールの「一度も抜けなかった。コントレイルは強い」というコメントが全てを表しています。正に、レースには負けたが、馬の力で勝負には勝ったという事でしょう。「こんなに道中ずっとかかって3,000Mを勝つ馬を他に知らない」という福永騎手のコメントもありました。また馬場も、良馬場発表とはいえ、内をみな開けて走る様子はまるで重馬場でした。時計も、1~10着まで2.1秒差。近年の菊花賞は意外と差がつかず、過去10年で1~10着馬間でこれ以上開いたのは、不良馬場だったエピファネイヤの2013年(2秒5)とゴールドシップの2012年(同じ2秒1)のみ。泥んこ馬場の2017年(キセキ)でも1秒9差でした。かなり力のいる馬場で、エピファネイヤ産駒には向いていてディープ産駒には向かなかったであろうことは想像できます。そんな中勝ったこと、無敗の3冠馬となったことを、やはり称えるべきでしょう。

 

今回の結果をもって、「コントレイルは勝つには勝ったが長距離は不向き。今後は適距離で」と殆どの人が言っていますが、本当にそうなのでしょうか。確かに首差の辛勝はショックでしたが、昔シンボリルドルフゴールドウェイに3/4馬身迫られました。しかしその後の更なる活躍(G1を4勝)は周知の通り。一方、7馬身差で勝ったナリタブライアンや、5馬身差で勝ったエピファネイヤはその後G1を各1勝しかしていません(ブライアンは故障もありましたが)。菊花賞の着差はあまり気にしなくてよく、むしろ辛勝のほうが後の活躍につながるかもしれません。キタサンブラックも確かリアルスティールに首差の勝利でしたし。コントレイルは今まで楽に勝ちすぎて、実践でのトレーニングが不十分だったのかもしれません。また、常に内をまわるプレッシャーのかかる競馬をしてきました。距離ロスは少なくても、囲まれた競馬を続けるプレッシャーって結構大きいのでは? 今まではそれを苦も無く抜け出してきましたが、今回は余力がゼロでした。優等生の競馬もいいのですが、そればかりでは疲れますよね。それと対照的に父ディープは、いつも外々をプレッシャー少なく回っていたと覚えています。多少の距離ロスがカバーできてしまう馬なら、プレッシャーが少ない外目を回る競馬の方が楽かもしれませんよ、福永さん。いずれにしても今回はよい経験になった、とても良いトレーニングになったと思います。多分、アリストテレスは今回迫ったコントレイルに2度と勝つことはないでしょう。ゴールドウェイが2度とルドルフには勝てなかったのと同じです。多分激走の反動があるでしょう。

 

今回はいつも通り大山の麓の牧場でリフレッシュできるのは良い事。ジャパンカップに間に合うかはわかりませんが、出てこれるなら、多分今度はもっと余裕で勝つのでは。東京コースは大得意ですし、2,400Mはダービー圧勝を見ていますから。ディープもルドルフも古馬初対決では負けているので確証まではありませんが、父ディープと同じく、紛れが少ない東京コースでは絶対に負けないという予感があります。古馬勢も、有力馬といえばグローリーヴェイズ、サートルナーリア、カレンブーケドール位でしょうか。グローリーは怖いですが東京コースの実績がありません。サートルは東京が大の苦手でスロー専用馬。大体、皐月賞で直線競ったヴェロックスに対し意図的か疲れたのかは不明もよれて体をぶつける行儀の悪い馬。今回コントレイルは、あれだけずっとアリストテレスに寄せられながら、直線でも一切ぶつからずまっすぐ走り切りましたから、これぞ真のアスリートですね、コントレイルは。あと、カレンブーケドールは相手なりに走る2着専用馬。怖さは少ないでしょう。まあ、やはり一番怖いのは3歳牝馬にて軽量で出られるデアリングタクトでしょうか。自力から言うとコントレイルの敵ではない筈なのですが、デアリングの方が1週休みが多いし、菊花賞を見てしまうとエピファネイヤ産駒が何だか怖くみえてきます。ダービーも決してパンパンの馬場でなかったし、3冠ともあまりよくない馬場で全部勝ったのは凄いことではありますが、今度位は、東スポ杯の時のようにきれいな良馬場でやってくれることを祈ります。

 

まあ、しかし無理はしないでほしい。個人的には、少し休んで有馬記念がよいのでは、と思いますが、馬場適正から関係者は有馬が眼中にないのかもしれません。それはちょっと残念なことです。または、よくわかりませんが、適距離という意味では香港カップがベストなのでしょうか。しかし、冬になってコロナの再流行の懸念もある中、今春のドバイのようにせっかく行ったのにキャンセルになる可能性もありますし、14日間検疫などいろいろ制限もあり、未だ海外はちょっとやめておいた方が安全ですね。

 

今週末は天皇賞。登録は12頭と随分寂しくなりました。まさか、アーモンドアイへの忖度でしょうか?? 5歳の秋になりましたが、未だ最強ぶりを発揮するのでしょうか。個人的には勿論ディープ産駒に勝ってほしい。このレースは鬼門で2着ばかりというイメージがあります。今回一番期待しているのはダノンキングリーです。今回は戸崎騎手ですから、ヨコノリさんのように持っていかれることはないでしょう。1,800Mの重賞ばかり3勝しており、2,000Mは3着2回(皐月賞大阪杯)ですが、何とかこなせる範囲内ではないかと期待しています。ディープ牡馬の成長力の無さをこれまで幾度も見せつけられており、懸念されるものの、まだレース回数も少ないので、もう少し頑張って、できればG1を1つは勝って、種馬になってほしいと思います。