オーギュスト・ロダンが米ブリーダーズカップ・ターフ(G1)を勝利!

ブリーダーズカップは今年は日本から近い西海岸で行われるという事で、同様だった一昨年にラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌが勝ったのは記憶に新しいところですが、今年は日本馬が多く出走しました。芝の最高峰レースであるターフにもシャフリヤールが出走しましたが、ここにはディープ産駒のラストクロップであるオーギュストロダンも出ました。ただ、飛行機輸送に弱いとの事、他にもモスターダフ(愛)、アップトゥザマーク(米)など中距離G1連勝中の馬が出ており油断ならぬメンバーであったこと、日曜朝だったので宵っ張りの私にはきつい時間であった事等々あり、生放送では観なかったどころか起きてもしばらく忘れており、昼頃ふと思い出してヤフーニュースを見たところ、オーギュストロダン勝利で驚きと喜びにつつまれました!シャフリヤールも(11頭中)3着と上々の結果です。早速ビデオを見ましたが、いやあアメリカよくある、小さい競馬場ですね、しかも芝がダートの内側という。。大分奥の引込線のような所からスタートして少し行くとダートを横切ります。シャフリヤールは中段のインを進み、オーギュストロダンはその外辺りにいましたがダートを横切ってからはシャフリヤールの後ろでインのラチ沿いを進みました。英語ではラチ沿い走りをon the railというのですね。ムーア騎手のコメントを見ると、ごちゃついて後ろでインに押し込められた、これはプラン通りではなかった(プランFだった)とのこと、それでも馬(オーギュストロダン)はスムーズに折り合っていたとのことです。要するに騎手は後ろの内でかなりストレスをためていた(小回りコースで後ろすぎてしかも内ですから)けれども、馬の方が全く問題なかったようで、事実芝周回コースに入ってからは全く折り合って走っていました。名手ムーアさえも驚かせた落ち着き、これば名馬の証でしょう。4コーナーではシャフリヤールが少し外に持ち出したこともあり内がうまく空いたところを手ごたえ良くスムーズに上がり、直線では最内からあっという間に先頭に立ち、その後はムーア騎手の激励ムチに応えてアップトゥザマークを抜かせず3/4馬身での勝利となりました。4コーナーで内がぽっかり空いたのは、まさかヤラセではないでしょうからラッキーではありましたが、しかし4コーナーでの手ごたえは他の馬たちに比べ図抜けていましたから、例え前が塞がっていても少し空けば突き抜けただろうと思います。飛行機輸送や現地の環境変化への対応などもあっさり克服してのG15勝目、古馬混合G1もこれで2連勝と、スーパーホースの仲間入りをしたといってもよいでしょう。12頭しかいないディープのラストクロップからこのような凄い馬が出てきたことは奇跡的で、ディープがまた一つ伝説を作ってくれました。米ブリーダーズカップは元祖高額賞金レースであるものの、何かとアメリカ馬に有利な制度もあり、またダート優先コースの中での小回り芝レースであり、個人的にはあまり好きではないものの、特にターフ(芝2400M)は近年の凱旋門賞馬エネイブルやファウンドをはじめ欧米の一流馬が勝っており格式あるレースとなっており(日本馬は未勝利)、このターフを勝ったことによる、いわゆる箔付けは賞金(1着USD2百万、約3億円)以上に大きいものでしょう。2歳時のG1フューチュリティトロフィ(3馬身半差)以降大きく着差をつけての勝ちはないものの、いずれも1/2馬身以上は差をつけて勝っているのは逆に評価できるかもしれません。とにかく大調教師であるAオブライエンが何度も「これまで扱った中でのベストホースの1頭。走るフォームがきわめて美しい」と激賞している馬。そして、アメリカに来てからダートで調教したら実にスムーズに走るので、レースの選択を間違えたかもしれない(最高賞金額のクラシックに出走してもよかったのでは?との意味)などとも言っていました。てっきりこれで引退して種牡馬かと思ったら、①欧州で種牡馬、②アメリカで種牡馬、③現役続行で来年はブリーダズカップ・クラシック出走の3オプションで関係者で相談するとのこと。冗談か本気かはともかく、やはりそれだけ凄い馬なんですね、このオーギュストロダンは。ちなみに青鹿毛の鼻白流星の姿はイクイノックスと似ています。流星自体がディープ産駒には珍しいです。しかし眼つきは違いますね。イクイノックスは白目が多いのできつく見えますが、こちらオーギュストロダンは非常にきれいでやさしい眼をしています。この眼はコントレイルそっくりです。私は勿論コントレイルがディープの最高傑作である事に微塵も疑いをもっていませんが、世界的な知名度のレース実績では、オーギュストロダンがディープの代表馬となったといってよいかもしれません。2大巨頭として、おそらく産駒同士今後世界の場で競い合うようになるのではないでしょうか。これは夢物語ではなく十分現実的でしょう。

シャフリヤールも惜しい3着でした。4コーナーで少し外に行った分オーギュストロダンと比べ少し距離ロスがあり、且つ手ごたえはあまりよくみえませんでしたが、直線の伸びはとてもよかったです。ただアップトゥザマークの内に入ってしまい前がオーギュストロダンだったので、実質ふさがれてしまったように見えました。アップトゥザマークの外に出せていれば2着はあったような気がしますし、そうすればディープのワンツーで最高でしたが、仕方ありません。喉なりの手術やその後の札幌記念大敗で心配していましたが、この大レースにおいて大善戦できたのは朗報です。次走が香港ヴァーズとのこと、右回りが得意でないような気もしますが、再度期待したいです。

さて今日の東京(アルゼンチン共和国杯G2)でもディープ産駒やってくれました。ゼッフィーロが1番人気に応えての勝利。前走オールカマーでは上がり3ハロン最速(しかも2着タイトルホルダーより1秒も早い)の3着でしたから成長を感じましたが、こちらもディープ牡馬には珍しく古馬になって成長しましたね。しかし今日の勝ちはモレイラマジックによる所も大きかったです。道中は内で完璧に折り合い、少し後ろ過ぎて心配しましたが直線は内を割ってきれいに伸びてきました。追い出しのタイミングとかも絶妙ですよね。ゴール版すぎても変なガッツポーズもせず、馬優先の非常に好感がもてる騎乗ぶりです。以前日本の騎手試験に落ちてしまいましたが、日本語は難しいですから。。しかし、受かってくれれば、日本でいつも彼の姿が見れるのは嬉しいことですが、反面、リーディングはしばらく独占されてしまうでしょうね。。とにかく、上手すぎますし素晴らしい騎手です。このゼッフィーロも鼻流星の馬、晩年のディープ産駒に増えてきましたね。G2を勝ったので次はG1を走るのでしょうか。少し力不足かもしれませんが、晩年のディープ産駒は成長力があるようなので、楽しみではあります。