ラヴズオンリーユー強い!香港G1勝利

G1が無かった先週末は、ディープ産駒が2週連続で重賞未勝利でした。土曜のドナアトラエンテ(福島牝馬S)は川田騎手で2着。日曜のマイラーズCはアルジャンナが福永騎手で2着。フローラSはかすりもせず。しかしその約2時間後、香港QE2世C(G1芝2,000M)で見せてくれました!ラヴズオンリーユー優勝、グローリーヴェイズ2着のディープワンツー!さらに3着デアリングタクト、4着キセキと、4頭出走した日本馬が1~4着独占でした。グリーンチャンネルで実況をみていましたが、道中デアリングタクトが内の好位置で折り合っており直線入口でも一番手ごたえがよく、一方のラヴズは騎手がしごき気味で外を回りましたし、グローリーは位置取りが後ろでしたので、これはまたデアリングにやられたかと半ば諦めかけました。そうしたら直線でラヴズの強い事、まずはエグザルタントを競り落し、続いてデアリングも競り落としました。しかも後でHKジョッキークラブの公式サイトを見ると、直線に入って残り300M手前当たりで左前脚を落鉄していたそうです。それであの怒涛の追い込みですから、呆れるほどの強さですね。

考えてみると今年のラヴズは、相手にも恵まれ川田騎手の好騎乗もありましたが、始動戦の京都記念を快勝。そしてドバイ(シーマクラシック)では少し行儀悪かったもののクロノジェネシス(2着)とびっしり競いあった末の僅差の3着。今回の勝利は外を回ってライバルをねじ伏せたものですから、完全復活と言えると思います。元々矢作師が、リスグラシューが引退後も「この馬がいるから」と海外G1の活躍に期待をこめていた馬。オークス後に中だるみがあったものの、見事に立て直しました。厩舎の調整力と、このコロナ禍でも海外にチャレンジした行動力には感嘆します。1着賞金は約2億円相当ですから、古馬牝馬が日本でこれ以上稼げるレースはJCと有馬しかありません。まさに、してやったりでしょう。距離も、2,000Mは適距離だったのかもしれません。全兄リアルスティールは1,800Mの鬼でしたので、このラヴズもやはり中距離(8~10ハロン)がベストなのかもしれません。また今回はスローで上りの競馬になりました(上がり4ハロン45秒台)ので、その点でも切れ味で勝負のラヴズやディープ産駒有利だったかもしれません。それにしてもディープ牝馬古馬でも強いですね。というか、古馬G1を勝てるディープ産駒は牝馬しかいないのではと思ってしまうくらいです。同厩舎のコントレイルも頑張らないといけません。

矢作厩舎といえば、あのリスグラシューでさえ一昨年のこのレースでウィンブライトの3着に敗れています。同厩舎にとってはリスグラシューの雪辱を晴らしたことになります。ディープ産駒のQE2世C優勝は初めてですので、その意味でも嬉しいです(同距離の暮れの香港Cはエイシンヒカリが既に勝っていましたが)。

2着のグローリーヴェイズ、結果論かもしれませんがスローペースだったので、道中の位置取りが少し後ろ過ぎたかもしれません。直線はよく伸びてきましたが、この馬にしては少し距離が足りなかったかもしれません。しかし最後ちょっと舌を出していましたね。ディープ牡馬によくみられる仕草です。苦しかったのでしょうか。まあしかしこの馬も香港G1は1着、2着と得意ですね。もう一つ日本でも海外でもよいからG1をとらせてあげたいですが。。6歳のディープ牡馬にしては本当に頑張っていますが、年齢的にこれ以上の上がり目は難しいでしょうから、引退するタイミングを見誤らないでほしいです。

デアリングタクトは、上述したように道中の手ごたえから「やられた」と思ったのですが、直線でラヴズに競い負けました。デアリングは馬体を併せると強い馬と思っていましたが、JCではコントレイルに競り負け、今回ラヴズに競り負けと、案外そうでもないですね。かりにも3冠馬ですから強いことは間違いないですが、古馬1線級の壁に阻まれている印象です。やはりこの馬はエピファネイヤ産駒、渋った馬場の方が強みを発揮するのではないでしょうか。その意味では毎年渋る可能性が高い宝塚記念に出てくるなら要注意です。しかし今年の宝塚はまたとんでもないメンバーになりそうですね。予想としてはクロノジェネシス、コントレイル、レイパパレに今回QE2世Cの1~3着馬、そして天皇賞春組でしょうか。コントレイルにとっては非常に厳しい戦いになりそうです。しかし予想メンバーの質を考えると、宝塚の予想賞金(1着 1億5千万円)は香港に比べて安すぎますね。

コントレイルといえば、先日皐月賞を勝ったエフフォーリアとの勝ち方の比較で、エフフォーリアの方が強いのではと言う人もいるようですが、それはさすがにないと思います。私も前回の記事で、エフフォーリアの方が勝ち方、騎乗ぶりが断然上と書いてしまいましたが、コントレイルより強いという意味ではありません(そう誤解されたようであればお詫びをもって訂正します)。確かに武史騎手の騎乗はお見事でした。しかしこれは昨年のサリオスに乗ったレーン騎手と同じですよね。本来、今年のエフフォーリアとほぼ同じ競馬をしたサリオスは、コントレイルさえいなければ3馬身差で圧勝していたのです。それをコントレイルは大外ぶん回しという、普通の馬だったら騎乗ミスで終わるところを、それで勝ってしまいました。もし今年コントレイルが出ていて同じように大外ぶん回していても、エフフォーリアには勝っていたことでしょう。

今週末は天皇賞春です。最近ではレベルが下がったと言われますが、大阪杯よりもこちらの方が賞金高いですし、コントレイルはこちらでよかったのでは?今回は、ディープボンドとワールドプレミアの争いになれば最高ですね。出来ればキズナ産駒に初のG1をとらせてあげたいので、ディープボンド1番押しですが、プレッシャーに弱い騎手だけにどうでしょうか。あと、伏兵ディアスティマも、重賞経験が無いので試金石ですが、楽しみです。牝馬とはいえウィンマリリン、カレンブーケドールも侮れませんでし、あとはアリストテレス。前回で決定的な差をディープボンドにつけられはしたものの、前回はかかって自滅した感がありますので、完全に見限れない怖さがあります。鞍上も引続きルメールですし。。。