キズナ産駒がクラシック初制覇(ジャスティンミラノ皐月賞)

遂にこの時が来ました。キズナ産駒5世代目で初めてのクラシック制覇、しかもキズナ牡馬としても待望のG1初勝利でした。2番人気だったジャスティンミラノ(1番人気は昨年末のホープフルSを勝った牝馬レガレイラ)。スタートもよく、外枠で包まれない利点もありましたがすーっと好位につけれるのは本当にセンスがいいですね。道中もぴたっと折り合い、本当に賢い馬です。但しメイショウタバルが刻んだペースは前半1,000M57秒5という超ハイペースだったので、5番手位で走っていたジャスティン自身も58秒台位で走っていたのではないでしょうか。これは追い込みの決まる展開かと、戦々恐々でした。3,4コーナーでジャスティンの手綱を戸崎騎手がしごいていたので、「これはやばいか」と不安に。直線では先に外国産馬ジャンタルマンタル(川田)がいい脚で抜け出し、これはヤバい!と半ばあきらめかけていたのですが、坂を上ってからジャスティンが二の脚を繰り出しジャンタルをつかまえ、追いすがるコスモキュランダ(モレイラ)をクビ差おさえてゴール!コスモキュランダもアルアイン産駒なので、ディープ系のワン・ツーは最高に嬉しかったです。時計は1分57秒1という超レコード(これまではアルアイン皐月賞及び金杯ラブリーデイによる1分57秒8)。ジャスティンの上がり3ハロンは34秒7と最速ではありませんでしたが、超ハイペースを好位で進み、最後も二の脚をつかって抜け出したうえでのこのレコードタイムは非常に強い競馬だったと思います。前の記事で、2,000M→1,800Mと2戦目の共同通信杯で距離を縮めたことを不安視していましたが、それも杞憂でした。ただ、僅差での勝利となり思いのほか苦戦したのは、もしかするとその影響があったかもしれません。サトノダイヤモンドがそのパターンで、皐月賞3着と最後に伸びきれなかったのもそれが原因と思っています。それにもかかわらず勝ってしまうジャスティンミラノは、かなり強いですねこの馬は。今日は馬体重+10kgで心配しましたが、これも杞憂でした。ダービーに向けて目いっぱいの仕上げでなかった結果としての馬体重増であれば、ダービーでは良化しかないので、さらに楽しみになりますね。今回は、スプリングSを快勝した同じくキズナ産駒のシックスペンスが皐月賞を回避したのが残念でした。ジャスティンミラノも大型馬なので、脚元が心配ではあります、ましてやこの激走のあとですから、どうかしっかり休んで無事にダービー出走してほしいものです。

それにしても、やはり厩舎力というのは大きいですね。友道厩舎、やはりやってくれました。そして、3戦3勝で無配の皐月賞馬になったジャスティンミラノには、三冠馬の資格があります。遂に友道厩舎にもその運がめぐってきたのかもしれません。それにしても、藤岡康太騎手が落馬事故(4/6)により亡くなってしまった(4/10)は非常に残念で悲しいことでした。技術はかなり高いと以前から私は思っており(勿論兄よりは大分うまかった)、マカヒキを久々の重賞勝ちさせてくれた騎乗も忘れません(2021年10月10日記事参照)。たまにちょっとムチを多用しすぎることもありましたが、、とにかく友道厩舎の調教パートナーとして、ジャスティンミラノを含め調教をつけていたのは、友道師も康太騎手の手腕を買っていたに違いありません。今回も2週前、1週前と康太騎手が追切をしました。1週前をビデオで見ましたが、内側から康太騎手の指示ですっと抜け出すジャスティンが印象的でした。非常に人柄もよかったようで、中央競馬として大きな財産を失いました。康太騎手のご冥福をお祈りします。

しかし、改めて騎手稼業は命がけであることを実感しました。先月もドバイでルメール騎手が落馬負傷しました。続報は殆ど入ってこずわからないのですが、元気で回復して早くターフに戻ってくることを期待します。ルメールといえば、シックスペンスですからね!中間に歩様がよくないとかで皐月賞を回避しダービー直行のようですが、ルメールが間に合ってくれることを(そして乗ってくれることを)切に願っています。やはりルメールがいた方が、競馬も面白いです。

超一流といえば、ジョアン・モレイラも凄い!先週は阪神牝馬S桜花賞(ステレンボッシュ)と重賞2勝、昨日のアーリントンカップでもディスペランツァで勝ち重賞3連勝、今日もコスモキュランダであわやの2着でした。コスモキュランダも、デビュー戦しんがり負けから徐々に力をつけてきた、アルアイン産駒らしいというか非常にユニークな馬で、この2着は実力通りともいえますが、それにしてもそれをフルに発揮させてくれるのがモレイラです。本当に敵に回すと怖い騎手ですね。

3着のジャンタルマンタルも、距離不安等言われていましたが(川田騎手も記者会見で言っていた)、それを覆すかのような激走でした。勝ってもおかしくない、素晴らしい抜け出しでしたが、勝ったジャスティンが強かったということでしょう。この後、ダービーに行くのか、それともNHKマイルCに向かうのか、注目されます。いずれにしても、キズナ産駒が苦節5年目についにブレークしたのは、うれしい限りです。ダービーでもジャスティンミラノとシックスペンスの対決が見られれば最高ですが、桜花賞でもライトバック(坂井)が3着と健闘し、忘れな草賞を快勝したタガノエルピーダと共に、オークスキズナ産駒が楽しみになりました。今日でまた、種牡馬リーディング首位をロードカナロアから奪還でしょう。キズナ産駒の活躍が今後も非常に楽しみです。