キズナ産駒の有力馬が揃った今年の3歳世代(凄かったシックスペンス@スプリングS)

ブリーダーズカップ・ターフ(オーギュストロダン勝利)以来4カ月半ぶり、久々の投稿になります。ディープ系がG1勝利したら書こうと思っていたのが、それが無かったのでここまで伸びてしまいました。まずはとにかく、ジャパンカップでイクイノックスが圧勝して引退したこと、これが大きかったです。まあイクイノックスもブラックタイドキタサンブラックという、ディープと同血統ではあるのですが、ディープの直系ではないという所が非常に複雑な心境です。結局底を見せずに世界ランク1位のまま引退してしまい、種牡馬評価も種付料が2,000万円といきなりコントレイルを超えてしまいました。これだけの馬ですから、産駒も活躍するのでしょうが、コントレイル産駒を凌駕してしまうのでしょうか。あれだけの天馬のような馬なのに、何故か最後まで好きになれませんでした。あの厩舎のせいか?一つ言えるのは、あの白目がちな瞳が優しそうなディープやコントレイルと対照的で自分の好みではなかったこともありますが。とにかく、イクイノックス・ショックでしばらく呆然としていました(笑)。

その後もディープ産駒は苦難が続きました。惜しかったのはゼッフィーロの香港ヴァーズ2着。アルゼンチン共和国杯Vからいきなりの海外G1での2着は頑張ってくれました。今年2月のカタールでのアミールT(G3だが賞金はG1クラス)でも、直線よれてしまいましたが2着。次走は天皇賞春らしく、楽しみです。今日の阪神大賞典を圧勝したテーオーロイヤルや、金鯱賞2着とはいえ長距離では侮れないドゥレッツァが強敵でしょうが、ディープ牡馬らしからぬ成長力をみせてくれていますし、モレイラ騎手が再度乗ってくれるなら、楽しみは更に大きいですね。そして去年の春天を圧勝したジャスティンパレスは、秋天で上がり3ハロン最速でのイクイノックスの2着と頑張りましたが、有馬記念は残念な4着でした。道中は勝ったドウデュースの後ろを走っていたのに、4コーナーからコース取りの差で大きく外に行ってしまい、直線入口ではドウデュースから大きく離されてしまいました。その時は「武史下手くそ!」と罵りましたが、考えてみるとこれも競馬のアヤ、仕方ありません。今年は春天をスキップしてドバイシーマクラシック出走というチャレンジングな選択をしましたが、これも同馬のポテンシャルを陣営が買っているからでしょうか。それとも春天ではルメールがドゥレッツアに乗るから、調整か? いずれにしてもシーマCではモレイラ騎手が乗るそうなので、これは期待大です。ルメールはスターズオンアースだと思いますが、ジャスティンに本当は乗りたかったのでは(笑)。そして、今年のドバイシーマはあのオーギュストロダンが出走予定なので、内外のディープ産駒G1馬対決となります。それに加えて三冠牝馬リバティアイランドが出るし、勝ちきれないとはいえスターズオンアースも侮れないので、厳しい戦いにはなるでしょうが、ジャスティンパレスの能力及び成長力も相当なものなので、非常に楽しみではあります。そしてプログノーシス秋天3着後の、12月の香港カップは5着。またまたシャティン競馬場で直線馬群の中に入ってしまい、不利なレースを強いられました。それでも、勝ったロマンティックウォリアーから差のない5着とよく追い込んだのですが。。一番悔しかったのは川田騎手でしょう。その鬱憤をはらすかのように、先週の金鯱賞では1番人気のドゥレッツアに5馬身差の圧勝でした。6歳でこの圧勝ぶり、大事に使って同馬を成長させた中内田厩舎にも敬意を表しますが、前掲のゼッフィーロやジャスティンパレス同様、晩年のディープ産駒古馬の活躍ぶりには驚きます。プログノーシスは、何といってもあとはG1を取るだけ。次走は昨年2着に負けた香港クィーンエリザベス2世Cのようです。またロマンティックウォリアーとの対戦でしょうが、昨年も直線で外に出せず不利な競馬をしているので、今度こそ3度目の正直で不利ない競馬をすれば、圧勝するのではないかと思います。これは期待大です。

さて、ディープ系の中で今年の活躍が目をひくのがキズナ産駒。現在総合リーディングでもトップですが、3歳馬の粒が揃いました。特に牡馬。シックスペンスが今日のスプリングSを3馬身半差で圧勝しました(これが今日書きたくなった理由)。スタートが抜群で、道中も超スローペースをかかることなく3番手で折り合い、直線ルメールは1発もムチを使わずしごくだけで3馬身半差、しかも直線急坂の中山で最後の2ハロンは10秒9→10秒8の加速ラップ、これには驚きました。実はこの馬、新馬戦(中山1,600M)でも加速ラップで最後10秒台の脚で勝っています。中山で加速ラップの競馬をみることは殆どないので、それを2回やったこの馬は只者ではありません。キズナ産駒に多いテン良し中良しに加え、終い良し(切れ味)まで兼備した正に3拍子揃った馬ですね。スプリングSを良馬場でこれほど楽勝・快勝した馬は過去覚えがありません。しかも3戦3勝、これで皐月賞の最有力馬になったといえますが、問題は騎手。ルメールは昨年末のホープフルSを勝った牝馬のレガレイラに乗るのではないかと言われているので、ルメールが乗れないと誰が乗るのか、それが心配です。もっとも、2戦目ひいらぎ賞でも石川騎手で快勝しているように、同馬の脚質から騎手の腕で左右される要素は比較的少ないとは思えますが。

共同通信杯を快勝したジャスティンミラノも似たような脚質で、こちらも有力候補です。こちらも、戸崎騎手で行くのか、乗り替わるのか、騎手が気になります。戸崎騎手は上手いのは間違いないですが、今一つG1では勝負弱いイメージがありますので。。あと、ジャスティンミラノは2,000M→1,800Mと2戦目で距離を縮めたのがどう出るかです。シックスペンスのように、1,600M→1,800Mと距離を伸ばしてきた馬、あるいはディープのように新馬以来2,000Mをずっと使ってきた馬のほうが、クラシックではよい結果が出ることが多いような気がしています。とにかく、キズナ2頭が皐月賞の最有力の2頭であるというのは非常に嬉しい事です。更に、若駒Sを快勝したサンライズジパングも、中間にアクシデントがあって皐月賞直行となりましたが、こちらも有力馬の1頭といえるでしょう。3頭も皐月賞有力馬がいるなんて、昨年までの不作が嘘のようです。

牝馬でも、2月のクイーンカップ(G3 1,600M)を勝ったクイーンズウォークと、エルフィンS勝ちのライトバックは共に桜花賞の有力候補ではないでしょうか。ノーザンファーム生産馬が多いこの世代は当初から期待されてはいましたが、正直これだけキズナ産駒が台頭するとは期待以上でした。まるでディープ産駒の全盛時を思い出すかのようです。

更に、キズナ以外でも3歳ではディープ系が活躍しています。弥生賞ディープ記念でもアルアイン産駒のコスモキュランダがMデムーロの手綱さばきがさえたとはいえ、1・1/4馬身差で快勝しました。またダートでは、フォーエバーヤング(矢作厩舎)が鼻差でしたがサウジダービーを勝ってこれで通算4戦4勝。リアルスティール産駒でダートの鬼とは実に面白いのですが、次のUAEダービーも勝ってケンタッキーダービーに進めることが期待されます。今年はいろいろと久々に楽しみを持ってクラシックシーズンを迎えられそうです。とりあえず2週間後のドバイ競馬を楽しみます。