キズナ産駒がクラシック初制覇(ジャスティンミラノ皐月賞)

遂にこの時が来ました。キズナ産駒5世代目で初めてのクラシック制覇、しかもキズナ牡馬としても待望のG1初勝利でした。2番人気だったジャスティンミラノ(1番人気は昨年末のホープフルSを勝った牝馬レガレイラ)。スタートもよく、外枠で包まれない利点もありましたがすーっと好位につけれるのは本当にセンスがいいですね。道中もぴたっと折り合い、本当に賢い馬です。但しメイショウタバルが刻んだペースは前半1,000M57秒5という超ハイペースだったので、5番手位で走っていたジャスティン自身も58秒台位で走っていたのではないでしょうか。これは追い込みの決まる展開かと、戦々恐々でした。3,4コーナーでジャスティンの手綱を戸崎騎手がしごいていたので、「これはやばいか」と不安に。直線では先に外国産馬ジャンタルマンタル(川田)がいい脚で抜け出し、これはヤバい!と半ばあきらめかけていたのですが、坂を上ってからジャスティンが二の脚を繰り出しジャンタルをつかまえ、追いすがるコスモキュランダ(モレイラ)をクビ差おさえてゴール!コスモキュランダもアルアイン産駒なので、ディープ系のワン・ツーは最高に嬉しかったです。時計は1分57秒1という超レコード(これまではアルアイン皐月賞及び金杯ラブリーデイによる1分57秒8)。ジャスティンの上がり3ハロンは34秒7と最速ではありませんでしたが、超ハイペースを好位で進み、最後も二の脚をつかって抜け出したうえでのこのレコードタイムは非常に強い競馬だったと思います。前の記事で、2,000M→1,800Mと2戦目の共同通信杯で距離を縮めたことを不安視していましたが、それも杞憂でした。ただ、僅差での勝利となり思いのほか苦戦したのは、もしかするとその影響があったかもしれません。サトノダイヤモンドがそのパターンで、皐月賞3着と最後に伸びきれなかったのもそれが原因と思っています。それにもかかわらず勝ってしまうジャスティンミラノは、かなり強いですねこの馬は。今日は馬体重+10kgで心配しましたが、これも杞憂でした。ダービーに向けて目いっぱいの仕上げでなかった結果としての馬体重増であれば、ダービーでは良化しかないので、さらに楽しみになりますね。今回は、スプリングSを快勝した同じくキズナ産駒のシックスペンスが皐月賞を回避したのが残念でした。ジャスティンミラノも大型馬なので、脚元が心配ではあります、ましてやこの激走のあとですから、どうかしっかり休んで無事にダービー出走してほしいものです。

それにしても、やはり厩舎力というのは大きいですね。友道厩舎、やはりやってくれました。そして、3戦3勝で無配の皐月賞馬になったジャスティンミラノには、三冠馬の資格があります。遂に友道厩舎にもその運がめぐってきたのかもしれません。それにしても、藤岡康太騎手が落馬事故(4/6)により亡くなってしまった(4/10)は非常に残念で悲しいことでした。技術はかなり高いと以前から私は思っており(勿論兄よりは大分うまかった)、マカヒキを久々の重賞勝ちさせてくれた騎乗も忘れません(2021年10月10日記事参照)。たまにちょっとムチを多用しすぎることもありましたが、、とにかく友道厩舎の調教パートナーとして、ジャスティンミラノを含め調教をつけていたのは、友道師も康太騎手の手腕を買っていたに違いありません。今回も2週前、1週前と康太騎手が追切をしました。1週前をビデオで見ましたが、内側から康太騎手の指示ですっと抜け出すジャスティンが印象的でした。非常に人柄もよかったようで、中央競馬として大きな財産を失いました。康太騎手のご冥福をお祈りします。

しかし、改めて騎手稼業は命がけであることを実感しました。先月もドバイでルメール騎手が落馬負傷しました。続報は殆ど入ってこずわからないのですが、元気で回復して早くターフに戻ってくることを期待します。ルメールといえば、シックスペンスですからね!中間に歩様がよくないとかで皐月賞を回避しダービー直行のようですが、ルメールが間に合ってくれることを(そして乗ってくれることを)切に願っています。やはりルメールがいた方が、競馬も面白いです。

超一流といえば、ジョアン・モレイラも凄い!先週は阪神牝馬S桜花賞(ステレンボッシュ)と重賞2勝、昨日のアーリントンカップでもディスペランツァで勝ち重賞3連勝、今日もコスモキュランダであわやの2着でした。コスモキュランダも、デビュー戦しんがり負けから徐々に力をつけてきた、アルアイン産駒らしいというか非常にユニークな馬で、この2着は実力通りともいえますが、それにしてもそれをフルに発揮させてくれるのがモレイラです。本当に敵に回すと怖い騎手ですね。

3着のジャンタルマンタルも、距離不安等言われていましたが(川田騎手も記者会見で言っていた)、それを覆すかのような激走でした。勝ってもおかしくない、素晴らしい抜け出しでしたが、勝ったジャスティンが強かったということでしょう。この後、ダービーに行くのか、それともNHKマイルCに向かうのか、注目されます。いずれにしても、キズナ産駒が苦節5年目についにブレークしたのは、うれしい限りです。ダービーでもジャスティンミラノとシックスペンスの対決が見られれば最高ですが、桜花賞でもライトバック(坂井)が3着と健闘し、忘れな草賞を快勝したタガノエルピーダと共に、オークスキズナ産駒が楽しみになりました。今日でまた、種牡馬リーディング首位をロードカナロアから奪還でしょう。キズナ産駒の活躍が今後も非常に楽しみです。

 

 

 

 

 

キズナ産駒の有力馬が揃った今年の3歳世代(凄かったシックスペンス@スプリングS)

ブリーダーズカップ・ターフ(オーギュストロダン勝利)以来4カ月半ぶり、久々の投稿になります。ディープ系がG1勝利したら書こうと思っていたのが、それが無かったのでここまで伸びてしまいました。まずはとにかく、ジャパンカップでイクイノックスが圧勝して引退したこと、これが大きかったです。まあイクイノックスもブラックタイドキタサンブラックという、ディープと同血統ではあるのですが、ディープの直系ではないという所が非常に複雑な心境です。結局底を見せずに世界ランク1位のまま引退してしまい、種牡馬評価も種付料が2,000万円といきなりコントレイルを超えてしまいました。これだけの馬ですから、産駒も活躍するのでしょうが、コントレイル産駒を凌駕してしまうのでしょうか。あれだけの天馬のような馬なのに、何故か最後まで好きになれませんでした。あの厩舎のせいか?一つ言えるのは、あの白目がちな瞳が優しそうなディープやコントレイルと対照的で自分の好みではなかったこともありますが。とにかく、イクイノックス・ショックでしばらく呆然としていました(笑)。

その後もディープ産駒は苦難が続きました。惜しかったのはゼッフィーロの香港ヴァーズ2着。アルゼンチン共和国杯Vからいきなりの海外G1での2着は頑張ってくれました。今年2月のカタールでのアミールT(G3だが賞金はG1クラス)でも、直線よれてしまいましたが2着。次走は天皇賞春らしく、楽しみです。今日の阪神大賞典を圧勝したテーオーロイヤルや、金鯱賞2着とはいえ長距離では侮れないドゥレッツァが強敵でしょうが、ディープ牡馬らしからぬ成長力をみせてくれていますし、モレイラ騎手が再度乗ってくれるなら、楽しみは更に大きいですね。そして去年の春天を圧勝したジャスティンパレスは、秋天で上がり3ハロン最速でのイクイノックスの2着と頑張りましたが、有馬記念は残念な4着でした。道中は勝ったドウデュースの後ろを走っていたのに、4コーナーからコース取りの差で大きく外に行ってしまい、直線入口ではドウデュースから大きく離されてしまいました。その時は「武史下手くそ!」と罵りましたが、考えてみるとこれも競馬のアヤ、仕方ありません。今年は春天をスキップしてドバイシーマクラシック出走というチャレンジングな選択をしましたが、これも同馬のポテンシャルを陣営が買っているからでしょうか。それとも春天ではルメールがドゥレッツアに乗るから、調整か? いずれにしてもシーマCではモレイラ騎手が乗るそうなので、これは期待大です。ルメールはスターズオンアースだと思いますが、ジャスティンに本当は乗りたかったのでは(笑)。そして、今年のドバイシーマはあのオーギュストロダンが出走予定なので、内外のディープ産駒G1馬対決となります。それに加えて三冠牝馬リバティアイランドが出るし、勝ちきれないとはいえスターズオンアースも侮れないので、厳しい戦いにはなるでしょうが、ジャスティンパレスの能力及び成長力も相当なものなので、非常に楽しみではあります。そしてプログノーシス秋天3着後の、12月の香港カップは5着。またまたシャティン競馬場で直線馬群の中に入ってしまい、不利なレースを強いられました。それでも、勝ったロマンティックウォリアーから差のない5着とよく追い込んだのですが。。一番悔しかったのは川田騎手でしょう。その鬱憤をはらすかのように、先週の金鯱賞では1番人気のドゥレッツアに5馬身差の圧勝でした。6歳でこの圧勝ぶり、大事に使って同馬を成長させた中内田厩舎にも敬意を表しますが、前掲のゼッフィーロやジャスティンパレス同様、晩年のディープ産駒古馬の活躍ぶりには驚きます。プログノーシスは、何といってもあとはG1を取るだけ。次走は昨年2着に負けた香港クィーンエリザベス2世Cのようです。またロマンティックウォリアーとの対戦でしょうが、昨年も直線で外に出せず不利な競馬をしているので、今度こそ3度目の正直で不利ない競馬をすれば、圧勝するのではないかと思います。これは期待大です。

さて、ディープ系の中で今年の活躍が目をひくのがキズナ産駒。現在総合リーディングでもトップですが、3歳馬の粒が揃いました。特に牡馬。シックスペンスが今日のスプリングSを3馬身半差で圧勝しました(これが今日書きたくなった理由)。スタートが抜群で、道中も超スローペースをかかることなく3番手で折り合い、直線ルメールは1発もムチを使わずしごくだけで3馬身半差、しかも直線急坂の中山で最後の2ハロンは10秒9→10秒8の加速ラップ、これには驚きました。実はこの馬、新馬戦(中山1,600M)でも加速ラップで最後10秒台の脚で勝っています。中山で加速ラップの競馬をみることは殆どないので、それを2回やったこの馬は只者ではありません。キズナ産駒に多いテン良し中良しに加え、終い良し(切れ味)まで兼備した正に3拍子揃った馬ですね。スプリングSを良馬場でこれほど楽勝・快勝した馬は過去覚えがありません。しかも3戦3勝、これで皐月賞の最有力馬になったといえますが、問題は騎手。ルメールは昨年末のホープフルSを勝った牝馬のレガレイラに乗るのではないかと言われているので、ルメールが乗れないと誰が乗るのか、それが心配です。もっとも、2戦目ひいらぎ賞でも石川騎手で快勝しているように、同馬の脚質から騎手の腕で左右される要素は比較的少ないとは思えますが。

共同通信杯を快勝したジャスティンミラノも似たような脚質で、こちらも有力候補です。こちらも、戸崎騎手で行くのか、乗り替わるのか、騎手が気になります。戸崎騎手は上手いのは間違いないですが、今一つG1では勝負弱いイメージがありますので。。あと、ジャスティンミラノは2,000M→1,800Mと2戦目で距離を縮めたのがどう出るかです。シックスペンスのように、1,600M→1,800Mと距離を伸ばしてきた馬、あるいはディープのように新馬以来2,000Mをずっと使ってきた馬のほうが、クラシックではよい結果が出ることが多いような気がしています。とにかく、キズナ2頭が皐月賞の最有力の2頭であるというのは非常に嬉しい事です。更に、若駒Sを快勝したサンライズジパングも、中間にアクシデントがあって皐月賞直行となりましたが、こちらも有力馬の1頭といえるでしょう。3頭も皐月賞有力馬がいるなんて、昨年までの不作が嘘のようです。

牝馬でも、2月のクイーンカップ(G3 1,600M)を勝ったクイーンズウォークと、エルフィンS勝ちのライトバックは共に桜花賞の有力候補ではないでしょうか。ノーザンファーム生産馬が多いこの世代は当初から期待されてはいましたが、正直これだけキズナ産駒が台頭するとは期待以上でした。まるでディープ産駒の全盛時を思い出すかのようです。

更に、キズナ以外でも3歳ではディープ系が活躍しています。弥生賞ディープ記念でもアルアイン産駒のコスモキュランダがMデムーロの手綱さばきがさえたとはいえ、1・1/4馬身差で快勝しました。またダートでは、フォーエバーヤング(矢作厩舎)が鼻差でしたがサウジダービーを勝ってこれで通算4戦4勝。リアルスティール産駒でダートの鬼とは実に面白いのですが、次のUAEダービーも勝ってケンタッキーダービーに進めることが期待されます。今年はいろいろと久々に楽しみを持ってクラシックシーズンを迎えられそうです。とりあえず2週間後のドバイ競馬を楽しみます。

 

 

 

 

 

 

 

オーギュスト・ロダンが米ブリーダーズカップ・ターフ(G1)を勝利!

ブリーダーズカップは今年は日本から近い西海岸で行われるという事で、同様だった一昨年にラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌが勝ったのは記憶に新しいところですが、今年は日本馬が多く出走しました。芝の最高峰レースであるターフにもシャフリヤールが出走しましたが、ここにはディープ産駒のラストクロップであるオーギュストロダンも出ました。ただ、飛行機輸送に弱いとの事、他にもモスターダフ(愛)、アップトゥザマーク(米)など中距離G1連勝中の馬が出ており油断ならぬメンバーであったこと、日曜朝だったので宵っ張りの私にはきつい時間であった事等々あり、生放送では観なかったどころか起きてもしばらく忘れており、昼頃ふと思い出してヤフーニュースを見たところ、オーギュストロダン勝利で驚きと喜びにつつまれました!シャフリヤールも(11頭中)3着と上々の結果です。早速ビデオを見ましたが、いやあアメリカよくある、小さい競馬場ですね、しかも芝がダートの内側という。。大分奥の引込線のような所からスタートして少し行くとダートを横切ります。シャフリヤールは中段のインを進み、オーギュストロダンはその外辺りにいましたがダートを横切ってからはシャフリヤールの後ろでインのラチ沿いを進みました。英語ではラチ沿い走りをon the railというのですね。ムーア騎手のコメントを見ると、ごちゃついて後ろでインに押し込められた、これはプラン通りではなかった(プランFだった)とのこと、それでも馬(オーギュストロダン)はスムーズに折り合っていたとのことです。要するに騎手は後ろの内でかなりストレスをためていた(小回りコースで後ろすぎてしかも内ですから)けれども、馬の方が全く問題なかったようで、事実芝周回コースに入ってからは全く折り合って走っていました。名手ムーアさえも驚かせた落ち着き、これば名馬の証でしょう。4コーナーではシャフリヤールが少し外に持ち出したこともあり内がうまく空いたところを手ごたえ良くスムーズに上がり、直線では最内からあっという間に先頭に立ち、その後はムーア騎手の激励ムチに応えてアップトゥザマークを抜かせず3/4馬身での勝利となりました。4コーナーで内がぽっかり空いたのは、まさかヤラセではないでしょうからラッキーではありましたが、しかし4コーナーでの手ごたえは他の馬たちに比べ図抜けていましたから、例え前が塞がっていても少し空けば突き抜けただろうと思います。飛行機輸送や現地の環境変化への対応などもあっさり克服してのG15勝目、古馬混合G1もこれで2連勝と、スーパーホースの仲間入りをしたといってもよいでしょう。12頭しかいないディープのラストクロップからこのような凄い馬が出てきたことは奇跡的で、ディープがまた一つ伝説を作ってくれました。米ブリーダーズカップは元祖高額賞金レースであるものの、何かとアメリカ馬に有利な制度もあり、またダート優先コースの中での小回り芝レースであり、個人的にはあまり好きではないものの、特にターフ(芝2400M)は近年の凱旋門賞馬エネイブルやファウンドをはじめ欧米の一流馬が勝っており格式あるレースとなっており(日本馬は未勝利)、このターフを勝ったことによる、いわゆる箔付けは賞金(1着USD2百万、約3億円)以上に大きいものでしょう。2歳時のG1フューチュリティトロフィ(3馬身半差)以降大きく着差をつけての勝ちはないものの、いずれも1/2馬身以上は差をつけて勝っているのは逆に評価できるかもしれません。とにかく大調教師であるAオブライエンが何度も「これまで扱った中でのベストホースの1頭。走るフォームがきわめて美しい」と激賞している馬。そして、アメリカに来てからダートで調教したら実にスムーズに走るので、レースの選択を間違えたかもしれない(最高賞金額のクラシックに出走してもよかったのでは?との意味)などとも言っていました。てっきりこれで引退して種牡馬かと思ったら、①欧州で種牡馬、②アメリカで種牡馬、③現役続行で来年はブリーダズカップ・クラシック出走の3オプションで関係者で相談するとのこと。冗談か本気かはともかく、やはりそれだけ凄い馬なんですね、このオーギュストロダンは。ちなみに青鹿毛の鼻白流星の姿はイクイノックスと似ています。流星自体がディープ産駒には珍しいです。しかし眼つきは違いますね。イクイノックスは白目が多いのできつく見えますが、こちらオーギュストロダンは非常にきれいでやさしい眼をしています。この眼はコントレイルそっくりです。私は勿論コントレイルがディープの最高傑作である事に微塵も疑いをもっていませんが、世界的な知名度のレース実績では、オーギュストロダンがディープの代表馬となったといってよいかもしれません。2大巨頭として、おそらく産駒同士今後世界の場で競い合うようになるのではないでしょうか。これは夢物語ではなく十分現実的でしょう。

シャフリヤールも惜しい3着でした。4コーナーで少し外に行った分オーギュストロダンと比べ少し距離ロスがあり、且つ手ごたえはあまりよくみえませんでしたが、直線の伸びはとてもよかったです。ただアップトゥザマークの内に入ってしまい前がオーギュストロダンだったので、実質ふさがれてしまったように見えました。アップトゥザマークの外に出せていれば2着はあったような気がしますし、そうすればディープのワンツーで最高でしたが、仕方ありません。喉なりの手術やその後の札幌記念大敗で心配していましたが、この大レースにおいて大善戦できたのは朗報です。次走が香港ヴァーズとのこと、右回りが得意でないような気もしますが、再度期待したいです。

さて今日の東京(アルゼンチン共和国杯G2)でもディープ産駒やってくれました。ゼッフィーロが1番人気に応えての勝利。前走オールカマーでは上がり3ハロン最速(しかも2着タイトルホルダーより1秒も早い)の3着でしたから成長を感じましたが、こちらもディープ牡馬には珍しく古馬になって成長しましたね。しかし今日の勝ちはモレイラマジックによる所も大きかったです。道中は内で完璧に折り合い、少し後ろ過ぎて心配しましたが直線は内を割ってきれいに伸びてきました。追い出しのタイミングとかも絶妙ですよね。ゴール版すぎても変なガッツポーズもせず、馬優先の非常に好感がもてる騎乗ぶりです。以前日本の騎手試験に落ちてしまいましたが、日本語は難しいですから。。しかし、受かってくれれば、日本でいつも彼の姿が見れるのは嬉しいことですが、反面、リーディングはしばらく独占されてしまうでしょうね。。とにかく、上手すぎますし素晴らしい騎手です。このゼッフィーロも鼻流星の馬、晩年のディープ産駒に増えてきましたね。G2を勝ったので次はG1を走るのでしょうか。少し力不足かもしれませんが、晩年のディープ産駒は成長力があるようなので、楽しみではあります。

 

 

 

 

天皇賞秋(イクイノックスは凄いが)ディープ2頭も好走

最初の1,000m57秒7。11頭の少頭数で、これだけペースが速くなるとは思いませんでした。ジャックドールが先手を奪い、ガイアフォースがそれほど離れずに2番手を進んだので勢いそうなったのでしょうか。そのような展開でイクイノックスもそう離れず3番手。これだけのハイペースを追走しながら直線楽々と抜け出し、後半1,000mも57秒5で、レコードタイム大幅更新の1分55秒2。ムチは2発位で楽々2馬身半差。凄いレースを見させてもらいました。一体何がどうなってこのような化け物のような馬が生まれてきたのか。。。G15連勝、秋天も2連勝、国内G1も4勝目(全て古馬戦)、連対率100%。宝塚記念ジャスティンパレスは0.2秒差まで迫ったので、もう少し善戦できるかと思いましたが、相手にしてもらえませんでした。

しかしジャスティンパレスも大善戦の2着でした。直線入口でプログノーシスに外を塞がれましたが、その外に持ち出して伸びてきたのは武史騎手の好判断。しかしあの直線入口のもたつきと、スタートでの後手がなければ、もう少し差を詰めていたのではないでしょうか。上がり3ハロンは何と最速の33秒7で、この馬もレコード更新でした。イクイノックスさえいなけえば完勝(3着プログノーシスに1馬身1/4差)でしたし、強烈な追い込みは今までに見せなかったもの。この馬の成長力もすごいものです。ディープ牡馬で古馬になってこれだけ成長力をみせたのは、この馬が初めてではないでしょうか。次はジャパンカップに行くのでしょうか。またもイクイノックスに完敗するかもしれませんが、イクイノックスは今日の走りすぎの反動があるかもしれませんので、もしかしたらの逆転に期待したいところではあります(ジャスティン自体も走りすぎたとはいえますが。。)。しかし今日のジャスティンパレスの単勝オッズは6番人気の35倍、複勝は340円もついたのですね!随分と見くびられたものです。ディープ古馬の今までの実績のなさによるものでしょうか。長距離専用馬ともみられていたのでしょうか。「バカにするなよ!」と叫んでいるような、炎の追い込みをみせてくれました。厩舎リーディングトップの杉山晴紀厩舎の仕上げも、改めて大したものです。2頭出しの1頭ガイアフォースも5着に粘りましたし。

杉山師とリーディングを争う中内田師のプログノーシスもよく頑張りました。私も正直、この馬に期待をかけていました。前走札幌記念の圧勝もありますし、川田騎手が乗った時は全勝でしたから。その全勝記録は途絶えましたが、こちらも大善戦でしょう。G1を一つは勝ってほしいし、勝てる器であることは間違いありません。しかし今日はイクイノックスは勿論、ジャスティンパレスにも完敗でした。

ドウデュースは大完敗の7着。私は昨年のダービー勝った後もこの馬を全く評価しなかったので、それみろとしか思いません。確かに武豊騎手がけがで乗り替わりはありましたが、戸崎騎手もほぼ完ぺきに乗っていたし、イクイノックスの後ろを進み、直線はぽっかり前が空いて、勝ってくれといわんばかりの展開。これで、追って伸びなかったのだから、実力負けでしょう。実戦は春の京都記念以来なので、息が入らなかったであろうことは同情の余地がありますが、同じような長期休養明けでもコントレイルは秋天2着でした。ドウデュースの追い切りの評価は凄く高く、そんなもんかと思っていましたが、やはり、馬の専門家の眼なんてそんなもんでしょう。イメージ的にはディープよりハーツクライ産駒の方が古馬になって成長するイメージがあるので、期待をかけられていたのでしょうか。しかしこの世代(現4歳)においては逆になりました。昨年春のクラシックでは問題にしなかったディープ産駒のジャスティンパレスに完全に抜かれてしまいましたね。

なお、2つ前のこのブログ記事(プログノーシス札幌記念を勝った時の)で、「秋の天皇賞は、(プログノーシスと)ジャスティンパレス、イクイノックスとの3つ巴の争いになれば非常に盛り上がりますね。」と書いていましたが、結果的にはその通りになりました。人気としてはイクイノックスとドウデュースの2強などと言われており、特にジャスティンパレスは過小評価されすぎていましたので、自分的には予測が当たって気持ちよかったです(馬券は買っていませんが)。

秋天の話はこれ位で、先週の菊花賞、ドゥレッツアは確かに強かったです。秋華賞のリバティアイランド(牝馬3冠)といい、ドゥラメンテ産駒おそるべしです。全体的な勝馬率やA.I.などはディープの全盛期に及びませんが、大物輩出率が凄い。死んでいなければドゥラメンテは更に凄い種牡馬となっていたでしょうね。しかしそれとは別に残念なのは、菊花賞にレーベンスティールが不出走だったこと!ノーザンの使い分けとしか思えず、本当に残念!普通あのセントライト記念の勝ち方したら、菊花賞行きますよ!レーベンスティールだったらドゥレッツアに勝っていたかもしれず、本当に残念です!

さて来週は米ブリーダーズカップがあり、ターフにオーギュストロダンとシャフリヤールの2頭のディープ産駒が出走予定です。どちらかに勝ってほしい!楽しみにしています。ソングライン(マイル)とメイケイエール(スプリント)の激走にも期待します。

 

 

 

 

レーベンスティールがセントライト記念を快勝!

今日のセントライト記念は、皐月賞馬でダービー2着のソールオリエンスがどれほど強い競馬をみせるかに限ると多くの人が考えていたと思いますが、リアルスティール産駒のレーベンスティールがそれをあざ笑うような快勝劇をみせてくれました。Jモレイラ騎手の手綱さばきは正にマジックマン。道中は内で完璧に折り合い、4コーナーを外に振られずに外から抜け出て、最後の中山の坂もなんのその、ソールオリエンスに1馬身3/4差(見た目には2馬身位にみえた)の快勝でした。上がり3ハロンもレーベンスティールが最速でしたが、この馬デビュー以来ずっと上がり最速を続けていますね。デビューの新馬戦がそのソールオリエンスとタイム差なしのクビ差2着、だが上がりは最速と、デビュー時からそん色ない動きをみせていたわけです。その後裏街道に進みましたが、ラジオ日経賞で後ろからの怒涛の追い込みも3着以来の実戦で、元々の素質にプラス成長を加わったのか、ソールオリエンスを圧倒したのはすごい事です。そういえば、父同士(リアルスティールvs.キタサンブラック)も同期のライバルでした。菊花賞ではタイム差なしのクビ差でリアルスティールが敗れましたが、その後古馬になって大きく差がついてしまいました(勿論リアルスティールもドバイを勝った位ですので立派な戦績ですが)。しかし、産駒同士の戦いで快勝してくれたことはディープファンとしては非常にうれしいです。もっともキタサンブラックも広義にはブラックタイドが全兄の為ディープ系とはいえる血統ではありますが。。

今年は、天皇賞秋がイクイノックスはじめ古馬の層が厚すぎるので、おそらくこの両頭は菊花賞に行くでしょう。昨年は、セントライト2着のアスクビクターモアが逆襲で戴冠しましたが、昨年のブログをみると、その逆襲を私も事前に予想できていました。しかし今年は、これだけ完敗すると、ソールオリエンスの逆襲は難しいかなと思います。勿論希望的観測もかなり入っておりますが。。レーベンスティールは、リアルスティールこそ1,800M専の馬でしたが、母系が非常に魅力的です。母の父トウカイテイオーというのが、シンボリルドルフスピードシンボリにつながる日本の由緒ある血統ですので、長距離も問題ないというか、むしろ楽しみになってきます。一方のソールオリエンスも、キタサンブラック×母父Motivator(タイトルホルダーと同じ)の血統なので、こちらも長距離はもってこいのはずです。しかしロマンにかけて、菊花賞ではレーベンスティールを応援します。大きな問題はモレイラ騎手が再度乗れるか、ですね!

もう一つ嬉しかったのは、先週の愛チャンピオンS(芝2,000M)でオーギュストロダンが勝ってG14勝目をあげたことです。キングジョージで大敗してどうかと思っていましたが、前回の敗因は馬場だけでなく、飛行機輸送に弱いとかいろいろあったようです。英ダービー(1着)の時は船で輸送したのがよかったらしいですね。それにしてもこの馬に対するAオブライエン師の評価が凄く高いのにはびっくりします。ベストホースの1頭である、昨年2月に初めて乗った時からすごいと思っていた、動きが実にスムーズで美しい、タフな馬だ等々。だからこそ、キングジョージ2000ギニーでの大敗にもめげず、馬を信じて立て直してきたのでしょうか。確かに見た目も漆黒の馬体と美しい眼は本当にいい馬と思います、まさにディープの最高傑作の1頭ではないかと、そのような馬がラストクロップのわずか12頭の中から出てきたことに、ディープ伝説に新たな1章が加わったのかと思います。

ただ、実際の(愛チャンピオンSの)レースは、先頭、2番手と同厩舎の馬に続いて3番手を走り、直線入口で2番手の馬が外に振れて内を開けてくれたので、オーギュストロダンには最高の展開になりました。まるで昨年のドバイシーマのシャフリヤールのようでした。それでいて、2着馬ルクセンブルグも勿論強い馬ですが、1/2馬身しか差をつけれなかったのは、強烈な強さというには今一つだと思いました。種牡馬価値を保つには、ここで引退するのが一番良いかもしれないとは思いますが、陣営は米国ブリーダズカップ・ターフへの出走を匂わせています。しかし苦手な飛行機輸送は大丈夫でしょうか。陣営は、レースの見た目以上にこの馬の強さを信じているのでしょうか。出走したらしたで楽しみではありますが、ディープ産駒の大敗はみたくないので、複雑な気持ちではあります。

 

 

 

 

プログノーシスが札幌記念を圧勝

約2か月半ぶりの投稿になります。その間、嬉しかった事としては、オーギュスト・ロダンアイルランド・ダービーを勝ち(7月2日)、英・愛ダービー連覇となったことです。悔しかったこととしては、その同じオーギュストロダンが次走の古馬混合G1であるキングジョージ(アスコット)で大敗してしまったこと、そして宝塚記念(6/29)でのジャスティンパレスの3着惜敗です。イクイノックスから0.2秒差のまさに惜敗ですが、なんといっても鮫島騎手が直線入口でムチを落とすという大失態をおかしたこと。これがなければ、イクイノックスと馬体を併せた時にも、もしかしたら競い勝っていたのではないかとも思えるほどです。やはり、強い馬でもいい騎手が乗らないと勝てないということです。もしルメールジャスティンパレスに、鮫島がイクイノックスに乗っていたら、逆転したのではないでしょうか。ルメールが乗ったときは今まで全勝していますし。騎手の大切さを改めて痛感したレースになりました。

そして今日の札幌記念もまさにその通り。当初から強烈な素質をみせており、私も過去のブログで押しに押していましたが、川田騎手が乗らないと勝てないプログノーシス。今回は主戦川田を乗せて、やはり勝ちました!しかもデビュー以来最大着差の4馬身差勝ちを、この実質G1といえる札幌記念でみせてくれたのですから、底知れぬ馬、底知れぬゴールデンコンビです。この馬を昨年末の中日新聞杯で4着に沈めたのが藤岡佑介。やはり騎手の選択は大事だとつくづく実感します。しかし、今日は札幌の洋芝でやや重で、各馬とも外目外目を走っており、実際は重馬場に近い馬場だったのではないでしょうか。その中でディープ産駒の古馬の牡馬が、これだけの強い勝ち方を重賞でみせてくれた事は、今までに記憶がありません。それだけ、この馬が特別な強さを持っているのでしょうが、「高いポテンシャルを持っているがそれを発揮させるのが難しい」この馬を毎回勝利に導き且つ大事に育ててきた川田騎手と中内田厩舎を称賛したいと思います。しかしこれで終わる馬ではないはず、この勢いでG1戦線に躍り出、イクイノックスを是非負かしてほしいものです。春の香港G1での2着惜敗のくやしさを晴らしてほしいです。2,400Mは未知数ですが(いけそうな気はしますが)、秋の天皇賞は、ジャスティンパレス、イクイノックスとの3つ巴の争いになれば非常に盛り上がりますね。勿論今後は川田騎手以外乗せないことで頼みます。もちろん希望はジャスティンとプログのディープ産駒ワンツーですが、、問題はジャスティンに誰が乗るかです。イクイが戦線離脱でもしない限りジャスティンにルメールがまわることはできないので、鮫島以外のジョッキーを確保しておかないと。。杉山厩舎→松山弘平もありですが、いまいちピンと来ないのです。個人的には、坂井瑠星騎手に乗せてみたい。あの修道士のようにまじめで、且つ意外と当りが柔らかく技術も持っている瑠星騎手が、日本人若手では一番ジャスティンに合いそうな気がします。このブログをもし杉山先生見られていたら、ぜひ参考にしてください(みるわけないか 笑)。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソングラインが安田記念連覇&G1 2連勝!

2023年も春競馬が終わりました。3歳クラシックは(ディープ系ファンとしては)残念な結果に終わりましたが、古馬のレースは結局ディープ系が総なめという形で嬉しい結果となりました。つまりソングラインがヴィクトリアMと今日の安田記念を連覇してくれたおかげです。2週前のヴィクトリアMでは、抜け出したソダシを内側から交わす、中々強い勝ち方でしたが、中2週で同じようなパフォーマンスを出す事は簡単ではありません。現に近年、アーモンドアイ(2020年)もグランアレグリア(2021年)も、ヴィクトリアMは圧勝しながら続く安田記念は2着と取りこぼしました。あの名牝2頭でさえそうなのだから、ソングラインの強さは認めるとしても、中々今回は難しいだろうなと思っていたところ、大外枠18番をひいてしまい、更に諦めの心境になっておりました(とはいっても応援はしっかりしていましたが)。ところがレースは横綱相撲、好スタートからすっと控え、ずっと外を回りながら直線も抜群の手ごたえで伸びて、2着セリフォスに1馬身1/4差の完勝でした。5歳にしてこれでG1を3勝目、しかも今までで一番強い勝ち方をするのですから、戸崎騎手のエスコートも完璧でしたが、成長力にも驚くばかりです。キズナ産駒はディープ産駒にはない成長力がありますね。その代わり3歳クラシックではさっぱりですが、、、しかしこのソングライン、これだけの強さをみせられると、左回りなら2,000M位までは走るのではないかと思ってしまいます。秋の天皇賞などはどうでしょうか。サンデーレーシングの馬なので、一定時期が来たら引退でしょうが、もう一花さかせてほしいものですね。それにしてもこの馬、3歳時からいい馬と思っていましたが、G1を3勝するとは思いませんでした。サウジでも1勝していますし、いやはや女傑といえる存在になりました。しばらくは重賞勝ちから遠ざかっていたキズナ産駒も、ソングライン覚醒を機にさらなる弾みがついてほしいものです!

 

さて、昨日はもう一つ嬉しいニュースがありました。何と英国ダービー(エプソム競馬場)をディープ産駒のオーギュストロダンが勝ったのです!2000ギニーで12着と大敗していたので、完全に忘れていましたが、いやあびっくりしたの嬉しいの!APオブライエンとRムーアのコンビがやってくれました。1/2馬身差での勝利ですが3着には4馬身以上差をつけているので、完勝ともいえます。2年前のスノーフォール(英愛オークス)に続いてディープ産駒の英クラシック制覇、しかも正真正銘のラストクロップで世界に12頭しか産駒がいないのに、その1頭が英国ダービーを勝ってしまうのですから、本当にディープおそるべしです。最後にまた伝説をつくってくれました。次は愛ダービーでしょうか。楽しみが増してきましたが、オブライエン厩舎はスノーフォールの二の舞にならないよう、使いすぎないように気を付けてオーギュストロダンを大事に使って育ててほしいものです。