大阪杯はポタジェ!

2着もハナ差でレイパパレが残り、ディープ産駒のワンツーでした。今年から賞金額が急に上がり、1着賞金2億円と急に格が上がったこのレース。まあ、そうでもしないと今後有力馬が皆ドバイに行ってしまいますから、それの防止の意味もあろうかと思いますが、エフフォーリアへの泊付けになるだけかと危惧していました。しかし、エピファネイヤ産駒、この馬とデアリングタクトという凄い馬が2頭出たものの、全体的な種牡馬成績はさえない(現在ベスト10に入っていないし、勝馬率及びE.I.も非常に低い)こと、またデアリングタクトも明け4歳以降は1回も勝てず別馬のようになってしまったことから、エフフォーリアもここが試金石だとは思っていました。更に初の関西輸送ということで、そのあたりがどう影響するか、あたりに少しは期待(といっては申し訳ないが)していました。ただ、もう1頭モーリス産駒のジャックドールという強烈な逃げ馬もいるので、ディープ(系)産駒は今回は厳しいかもしれないとは思っていました。しかしジャックドールは白目がちな目つきがあまり好きではないですね。また、前走強烈な勝ち方をして中2週で相手も強化されるので、そこらもどうかとは思っていました。

レースは、やはりジャックドールが逃げるもアフリカンゴールドがマークして楽な逃げにさせなかったのが大きかったですね。レイパパレもいい感じで3番手につけました。非常に折り合っており、4角の手ごたえも非常によく、「お、今日はレイパパレか!」と気合が一気に入りました。そして直線、ジャックドールをレイパパレがとらえる!よし!そこに外からアリーヴォ!、ヒシイグアス! レイパパレ持ってくれと思った瞬間、グッと抜け出た青帽子のポタジェがゴール!リアルタイムでは、ゴールでやっとわかりました。直線ではずっとレイパパレだけ見ていたので。アリーヴォに差されたようにみえたそのレイパパレが実は残っていて2着で、予想もしないディープ産駒ワンツーの結果に歓喜しました!

それにしてもポタジェお見事でした。リプレイで見直すと道中は好位のインを折り合って進み(この馬はかかるところが全くない)、4コーナーでもレイパパレの後ろでいい手ごたえでした。そして直線、すっとレイパパレの外に出せたのも展開が本当にはまりました。なかなかスパッときれる馬ではないですが、実にしぶとい差し脚。坂を上がって、アリーヴォが迫ってきてからもう1回ぐいっと伸びてクビ差の勝利。本当に相手なりによく走る馬で、今まで掲示板を外したのは昨年の天皇賞秋の6着だけという超堅実な馬でしたが、爆発的な末脚がないのでG1では一息かなと思っていました。ただ、今年初戦のAJC杯は直線包まれてしまい(5着)完全に脚を余して負けた感じでしたし、金鯱賞(4着)も後方からの競馬になってしまいましたが上り3ハロンは断トツで最速でしたので、馬券内の期待はありましたが、まさかエフフォーリア、ジャックドールの2強と言われている中で勝つとまでは思いませんでした。展開がむいたとはいえ、吉田隼人騎手もそつない騎乗だったと思います。直線はインタビューで彼が言っていた通り「きれいな追い方ではなかった」ですが、坂の前で一瞬ポタジェの呼吸をととのえるようにして、そこからまた追い出したように見えたのですが、見間違いでしょうか。あれで馬がぐっと伸びたようにもみえたのですが、もしそうだとしたら、同騎手のファインプレーかもしれません。考えてみると半姉はあのルージュバックだったのですね。血統的な裏付けもあったわけですが、ディープにかわってしかも古馬の牡馬でG1が勝てて、よかったです。

レースとしては前半が58秒8、後半が59秒6と、前半が早かったわりには上りも速く、きつい競馬だったと思います。ジャックドールをアフリカンゴールドがしっかりと、常に1馬身以内で体を併せてマークしたので、ジャックドールにとっては息のつけないとりわけきつい競馬になったと思いますが、それでも5着に粘ったジャックドールは、これはこれで強かったと思います。しかし、このようなハイペースにもかかわらずポタジェ、レイパパレともに前残りで粘ったのですから、大したものですし、これでは後ろから来た馬はかないません。レイパパレは、昨年の激走が(重馬場による)フロックではなかったことを証明した、素晴らしい走りでした。そしてアリーヴォも、道中はエフフォーリアの後ろで競馬を進めながら、4コーナーから内の進路がぽっかり空いて、外を回ったエフフォーリアに直線入口で既に大きく差をつけました。このコーナーワークは武豊騎手のナイス判断でしたが、そこからもう1段伸びてくるのですから、この馬もなかなか強いですね。ドゥラメンテ産駒本当に侮れずです。

それにしてもエフフォーリアは思った以上の惨敗(9着)でした。道中は思ったより後ろ目でしめしめと思いつつも、どうせ最後は伸びてくるんだろうなと思っていましたが、直線で全く視界にも入ってきませんでした。この敗戦をどう見るか、ですね。脚でも痛めていたのか、体調が悪かったのか、初の関西遠征で調子を崩したか、はたまたレース展開が全く不向きだったか。私の勝手な推測としては、これはエピファネイヤの血の限界(やはり大レースではディープが強い!)に加え、母の父のハーツクライの血のせいかもしれません。つまりハーツの血は、勢いがつくと物凄い結果を出し、どんな馬にも負けないような“無双”の結果を出しますが、そのような無双の期間は1年未満です。ハーツ自身も、暮れの有馬ではディープさえ倒し、翌春のドバイシーマCも圧勝でしたが、翌年秋以降は衰退。ジャスタウェイも無双の期間は天皇賞秋から翌春の安田記念まで。リスグラシューも宝塚から有馬まで無双を続け、一番いい時に引退しましたが、約半年の無双期間(矢作師が一番うまくやりましたね)。エフフォーリアも、昨年はコントレイルまで破る無双状態でしたが、今年はどうでしょうか。私のようなハーツの血のセオリーが真であれば、もうG1では勝てないかもしれません。そのそもこの馬、あまりにも出来過ぎでした。また超一流馬としては馬体が大きすぎます。とはいってもキタサンブラックのように最後まで勝ちまくった巨漢馬もいるので油断はできませんが、この先の道は意外と険しいかもしれません。遠征してシーマCを勝ったシャフリヤールとこれほど明暗を分ける結果になるとはさすがに思いませんでしたが。。横山武史騎手もショックのことでしょうが、このショックを引きずらないでほしいものです。というのは、皐月賞のキラーアビリティが控えていますから!父親よりは優れた技量を持つ騎手と信じていますので、キラーは武史に任せた、冷静にキラーの力を引き出してくれ、と願うばかりです。