ひたすら強かったアーモンドアイ

馬体重の発表の時、「コントレイルやばい」と思いました。456kg(-2kg)。直前に矢作師が「460kg台での出走になるでしょう。それをきったらまずい」のような発言をしていたので。あまり食べなかったのでしょうか。それに対しアーモンドアイは変わらず、デアリングタクトは-6kgでしたが前走が+14kgでしたので程よく絞れた印象。パドックでもいつも大人しい馬ですが、いつも以上に覇気がない気がして気になりました。他方アーモンドとデアリングは落ち着いており、デアリングは汗もかいていませんでした。その上最初と最後の馬場入りで両馬とも特別扱い。返し馬も、コントレイルは軽すぎる感じもしました。しかし落ち着いていました。観客は入るようになったものの声援が殆ど出ていないこともあってか、3冠馬3頭とも非常に落ち着いていました。外国馬がゲート入りにえらくてこずり時間がかかりましたが、いらつく馬もみえませんでした。

 

キセキが前に行くとは予想していましたが、あんなにぶっちぎって飛ばすとは予想外でした。ヨシオにつっかけられて暴走してしまったようです。1,000M57秒9。ただ、大きく離れた後ろの馬たちには平均ペースだったかもしれません。アーモンドが好位の内でじっとしており、その後ろにデアリング、コントレイルと続く。4コーナーでアーモンドは内をきれいにまわり、前を行っていた同じ勝負服のグローリーヴェイズがぽっかり前をあけてくれました。シルクの連携プレイかと思う程。そして最後は馬場のいい中ほどをグーンと伸びる、正に堂々たる競馬でした。2,400Mでもこんな脚をつかえるなんて、コンディションさえよければ、あらためてやはり最強馬でした。本当におそれいりました。ルメール騎手のコース取り、かじ取りも完璧でした。

 

コントレイルも2着は悔しいものの、アーモンドに負けたのなら納得です。今回はプレッシャーも殆どなく、折り合いもついて道中進んでいました。デアリングの後ろにつけて、いい位置取りでした。ただ、4コーナーでデアリングタクトに追いつこうとする時に、すこし外をまわされましたね。直線も一度デアリングを競い落したと思ったのですが、内に切れ込んだデアリングがもう一度伸びてきました。一方のコントレイル、いつものグーンという伸びがなくじり脚でした。もちろんレベルの高い争いなのでそう見えただけでしょうし、上り3ハロンは最速(34秒2)でした。しかしカレンブーケドールを抜くのにも大分手間取りました。少し内によれながらも最後は必死に前の馬を殆どかわしたのですが、アーモンドだけは届かなかった。有馬でディープがハーツに届かなかったのと似たような結果になりました。未だに馬体を併せた馬には負けたことがないコントレイル。アーモンドに馬体を併せられたら、どうなっていたでしょう。まあ今日現在の実力差なら、それでも負けていたかもしれませんね。

 

デアリングがいつの間にかきていて、クビ差(半馬身差位にみえましたが)3着。結局3冠馬の1、2、3で1~3番人気通りの結果になりました。タイムは2分23秒0と2年前のアーモンドがつくったレコードには及ばないものの、今年の東京芝はかなりタイムがかかっていることを考えると優秀な時計でしょう。4着のカレン、5着のグローリーとディープ古馬が上位に来ました。カレンはハナ差デアリングに差されましたが、コントレイルと直前まで競り合っていて強い所をみせました。それを内にきれこみながらゴール前かわしたデアリングも相当強い馬だと改めて感じました。このレーズぶりだと、牝馬路線のヴィクトリアMでなく、大阪杯に来るでしょうか。そうするとコントレイルとまた再戦です。コントレイルも油断はできませんね。グローリーは、直線でずっと先頭にたってキセキを追いかけていましたが、馬場の悪い内にもたれてしまい、アーモンドにかわされてから最後は力尽きました。真っ向勝負にいって良いレースをみせてくれたと思います。今回は本当に1~5着の馬が持ち味をみせて強い競馬をして、ファンを魅了してくれたと思います。6着のワールドプレミアは5着と3馬身差でした。ワールドは、今回は大事にたたき台のつもりで後ろから慎重に競馬してたようにみえました。次走有馬記念に出れれば怖い存在です。

 

コントレイルは、体重減少が象徴していたように体調がやはり万全ではなかったでしょう。それにもかかわらず本当によく走ったと思います。レース後馬体に異常がない事を祈ります。福永騎手も、今回はプレッシャーを受けないようにいい所を終始走っていました。4コーナーではアーモンドがあまりにもうまく回ったので比較すると距離ロスがありましたが、王道の競馬をしたと思うし、負けたのは現時点での力差でしょう。ゆっくり牧場で休んで、無事に冬を越し、春には一段成長した姿をみせてほしいものです。ただ、ここで引退して種牡馬になってもいいほどの実績を既にあげましたので、今後はあまり無理はしてほしくないと正直思います。アーモンドが9冠馬となってしまい、それを破るという目標に向かうかもしれませんが、古馬重賞で勝ち続けるのは大変な事ですから。ディープ産駒牡馬でそれが出来るだろうかという不安もあります。但しコントレイルは今までの産駒とは全然性能や根性が違うのも確かです。今後は神のみぞ知る、でしょうか。

 

ところで、今週はキズナの2歳馬が何頭か2勝目をあげるチャンスがあったのですが、全部つぶれました。京都2歳Sのバスラットレオン、1週前追い切りでコントレイルに先着したので期待していましたが、先行して直線失速しました。2勝目をあげるのはいつでしょうか、どうにも気になります。今回デアリングが差の無い3着に来て、エピファネイヤの種牡馬評価がまた上がったと思われます。一方ジャパンCの出走馬もなくG1勝ちも未だないキズナ産駒。とにかく気になります。しかし産駒は全般的に、スタートよく先行力あり、それでいて最後も粘りますし、いい走りをします。ディープ産駒とは違う持ち味があり、みていて楽しい。今にブレークする馬が出てくるとは思います。

 

ジャパンCが終わって少し気が抜けてしまいました。コントレイルも来春まで出てこないでしょうし。あとは有馬でフィエールマンを応援する位かな。そろそろ真面目に仕事にかからなければなりません。コントレイルの根性を見習わないといけません、本当に。