凱旋門賞トライアルの明暗(ディープボンド/スノーフォール)

暗は勿論、ヴェルメイユ賞(G1)で2着に敗れたスノーフォール。1.1倍の圧倒的人気を裏切りました。グリーンチャンネルで見ていましたが、パドックでは首を上下に振って大分入れ込んでいました。前走のヨークシャーオークスでは非常に落ち着いていたのと対照的でした。体調か精神状態か何か良くなかったようです。それでもレースではいつも通り後方を折り合って進み、ゴーサインが出て伸びる、と思ったら今日はじり脚で全然伸びず、2着がやっとでした。勝った馬はスノーフォールが16馬身差で勝ったオークスで10着に負けている馬なので、いかに驚きの敗戦かわかるでしょう。ゴール後、がくっと力が抜けてしまいました。

やっぱり、中2週で使ったのが良くなかったのではないかな。欧州の馬は使う時は詰めてどんどん使うようですが、ディープ産駒はスタミナ的に弱く、あまりそういう使われ方をしてきた馬がいないので、気になっていました。これで、凱旋門賞に出るのかどうかもわからなくなってきましたね。次は更に疲れがたまって、大敗するのは見るにしのびません。関係者がどういう判断をするのか。。唯一の救いは、ヴェルメイユ賞で負けても凱旋門賞で勝った馬が過去複数いることです(トレヴなど)。まあ、これで本番出るとしても人気は落ちるでしょうから、気楽に乗れるというメリットもあるかもしれません。本番はムーアに乗ってほしいですね。今回はムーアはアイルランドで騎乗の為デットーリでしたが、やはりこの馬はムーアが一番合っているように思います。

 

明は勿論、そのヴェルメイユ賞の40分後にフォワ賞(G2)を快勝したディープボンド!G2といっても、1着賞金が1,000万円未満相当ですから随分ショボいというか、欧州の凋落を象徴しており、こんなん日本だったらすぐに稼げてしまうのに、わざわざ“名誉”の為に渡仏して、その名誉の一角は掴めたのはよかったです。ロケットスタートから自然にハナにたった時は「ああ、やっちまった、もうダメだ」と正直思いました。超スローに我慢できない日本馬がよく欧州でやってしまう失敗パターンですからね。ところが、false straightから直線にかけて他馬との差は全く詰まらず、むしろボンドの方が余力たっぷりで、結局1馬身半差の堂々の逃げ切り勝ち。Cデムーロの手綱さばきはお見事ですが、ボンドの力強い走りもあっぱれ、お見事でした。日本でG1未勝利なので5番人気も当然でしょうが、この勝ち方は今回出ていた他の馬とは明らかに力が違う事を見せつけました。ただ、本番は別路線から強い馬が出てきますし、さすがに勝てるとは思いませんが、ロンシャンのコース・馬場には十分対応出来たことは非常に明るい材料ですし、本番の楽しみがまた増えました。

それにしても、キズナ産駒の想像を超える力強さはどうでしょう!スタートがよく先行力あり、自分の型にはまって直線に入ると中々抜かせない根性と強さ。しかも4歳牡馬で更に成長がみえるディープボンド。ディープ産駒とは違ったキズナ産駒の魅力ですねえ。9/11土曜日の紫苑Sを勝ったファインルージュも、圧勝でしたね。まさにテンよし中よし、終いよし!中山の2,000mも快勝ですから、距離の問題はないですね。但し紫苑S秋華賞本番は全然リンクしないので、更によくなるのはその先かもしれませんが、今回の秋華賞は坂のある阪神なので、クロフネ産駒のソダシにはきつい設定かもしれません。今回はファインルージュチャンスかもしれませんよ、そして遂にキズナ産駒の初G1制覇なるか!!候補馬は複数いるので時間の問題かとは思いますが、正直あせります。京王杯AHはバスラットレオンに期待していましたが、スタートで出遅れてしまい、the endですね。そろそろ次は騎手交替でしょう。スタートのうまい福永騎手にでも変わってくれないかなあ。きっとガラッと変わると思うのですがね。

 

スノーフォール以外のディープ産駒ですが、凄いのが1頭出てきましたね。8/28小倉の未勝利2,000mを7馬身差の1分59秒5で勝ったキラーアビリティ。レコードタイムですがそれ自体は、今年の小倉は異常にタイムが早いのでどうでもよいのですが、この馬すごかったのは、ハロンラップが最初の12秒9以外は一番遅くて12秒4と2歳戦(しかも未勝利戦)としては緩みのない展開で、上り3ハロンが加速ラップ(12.2 - 11.8 - 10.8)だったこと、しかも最後の10秒8はムチも使わず自身が流して決めたものです。直線平坦な小倉だから出来る事とも言えますが、それにしてもゴール前加速ラップは、普通は超スローペースの展開でないと出ないもの。それを馬なりで出してしまうのは、凄い馬が出てきたと思いました。この馬、新馬戦は5着に負けているのですが、この新馬戦はあのアホなテーオーコンドル(エピファネイヤ産駒!)が馬っ気を出して他馬(牡馬 (笑))のケツにまたがり大騒動になった最悪のレース。さすがに影響を受けた可能性は大でしょうから、少し大目に見ないと。2戦目で大変身したわけですが、この馬、来年のダービー馬かもしれません。そこまでは言い過ぎと思われるかもしれませんが、根拠はあります。上記の驚異的なラップの記録に加え、キラーアビリティの体重が460キロ台と、重すぎなく丁度いい大きさであること、走るディープ産駒に多い青鹿毛であることです(この2つはコントレイルとも同じですね)。また、クロノジェネシスやラウダシオンなど最近実績を上げている新進の斉藤崇厩舎であることも、いい材料です。後は騎手ですね。超一流馬なら誰が乗っても勝てるのかもしれませんが、やはりいい騎手に調教されて、更に成長してほしいものです。