安田記念:忘れかけていたダノンキングリー

今は6/8(火)の夜、忙しくて書くのが遅くなりました。2日前の安田記念もディープ産駒のワン・ツーでしたが、1着はグランアレグリアではなくダノンキングリーでした。思えば昨年の大阪杯でヨコノリが持って行かれてハナに立ち3着に負けてから安田記念秋天と惨敗し、ああこれは典型的なディープ牡馬のパターンで二度と勝てないなと勝手に思い込んでいました。しかも今回は秋天以来の休み明けで来るイメージがありませんでした。しかし、川田騎乗だったのですね。それを考えるべきでした。元々このキングリーはサンデーサイレンスとディープと奇しくも同じ3月25日生まれで、しかも小柄な馬で雰囲気も父、祖父に似ており、大物と思っていました。最初から川田騎手が乗っていれば皐月賞もダービーも勝っていたかもしれない、そう思わせるほどの見事な騎乗でした。道中から直線までグランの斜め前でかぶせるような形でうまくブロックし、グランの進路をふさぎました。しかしよく直線も伸びました。グランの進路がなかったという敵失はあるにせよ、勢いのある3歳馬シュネルマイスター(3着)を差し切ったのですから。まあ本来この位の力はある馬にせよ、ディープ牡馬が古馬でG1を勝つのは嬉しいです。去年は春天のフィエールマンだけだったと記憶していますが、今年はワールドプレミアに次いで2頭目ですね。ちなみに川田騎手はヴェロックスでキングリーと何度も対戦していますから、テン乗りでかつてのライバルに乗って(ヴェロックスが不振にあえぐ中)勝った心境は複雑でしょう。ウィニングランで何度も頭を下げていたのも、そんな背景があったかもしれません。あとは、(ダノン)プレミアムで古馬になってG1を結局勝てなかったけど、やっとこちらキングリーで勝てましたというダノックスのオーナーへの敬礼の意味もあったでしょうか。

ちなみに、もう1頭道中グランの進路を塞いでいたのがケイデンスコール。しかし同じサンデーレーシングの馬ですよね。なんでグランの邪魔するの?と不思議でした。しかも、本馬場入場の時2人引きでグランを引いていた1人は、あれはサンデーレーシングの代表のように見えましたが、私の勘違いでしょうか?あれを見て「うちの目玉はこの馬だから他の馬はサポートしてくれ(少なくとも邪魔はするな)」というメッセージと私は受取ったのですが。。KYの岩田康騎手には全く関係なかったという事でしょうか。おそらくサンデーR代表は激怒したのでは?私が同じ立場だったら二度と岩田康を乗せることはないです(苦笑)。個人的にも岩田康は好きでないですが。

それにしてもキングリーが一昨年のダービーでメンコを付けられた時はがっかりでした。個人的な見解ではあるものの、本当の名馬はメンコをつけている馬はいないので、いくら気性に問題があっても一流馬にメンコをつけてはいけないと思います。しかも、この厩舎はその後毎日王冠でまたメンコを外したり、マイルCSで再度つけたり。。元々G1を複数勝てる馬だと思っていたので、忘れた頃にやっと初のG1勝ちは歯がゆいですが、この馬は種牡馬になってほしいと思っていたところ、G1勝ちでそれが実現できそうなのは、よかったです。

グランは、ルメールが「手ごたえが悪かった」とコメントしたそうですが、ずっとキングリー、ケイデンスコールなどにつつまれっぱなしで出る所が全くなかったから、あれではどうしようもないです。直線ではやや強引に、サリオスとラウダシオンの前をカットして(但し両馬ともに既に勢いを失っていたので、ルメールは3万円の過怠金で済んだとみています)やっと進路を確保、そこからの追い込みは怒涛でしたが、前が開かない不利は大きかったと思います。しかし本当に開かなかったのでルメールを責める事も出来ません。個人的にはやはり岩田康を責めますね(笑)。しかし、ディープの牡馬が古馬G1を勝つことはディープファンとしてはとても重要なので、今回はキングリーでよかったとも思っています。それにしても、中2週で不利があってもこの競馬で僅差の2着、本当に強い馬ですねグランは。ディープ牡馬にも、古馬になってこの位強い馬が残り少ないですが1頭は出てきてほしいものです。そういえばコントレイルは宝塚記念に出走しないとのこと。残念ですが、あの大阪杯の走りをみると、同じ阪神内回りですから、それでよかったかもしれません。また立て直して、秋天では復活の走りをみせてほしいものです。

4着インディチャンプは、直線では一番手ごたえが良く、福永騎手が追い出したのはかなり遅かったです。一昨年のマイルCSの二の舞か(やられたか)と思いましたが、最後の1ハロンで3頭にかわされました。さすがにステゴ産駒とはいえ6歳で少し衰えがあったようにみえました。しかし、これもマイルでは本当によく走りますね。8着サリオスは、グランと同じく直線出すところがありませんでした、が、走りにも全く精彩がなかったですね。これでグランには3戦3敗。今後どうなんでしょうか。ハーツ産駒の成長力という事を考えるとまだ油断はできませんが。。

先週は、もう一つ安田記念にも勝る驚きがありました。英オークスで、日本産馬でディープ産駒のSnowfallが16馬身差で勝ちました。まずディープ産駒がエプソム競馬場の、しかも道悪馬場のG1レースで勝つことが驚きですが、それに加え16馬身差。しかも、レース映像を見ましたが、デットーリ騎手が追い出したのは残り2ハロンから、またムチは1発しかいれませんでした。並走馬を離しにかかったのが残り300Mで、さらに最後の100Mは流していましたので、実質的には1ハロンくらいで16馬身つけたようです。これは本当に驚き呆れました。しかもこの馬、昨年2歳時は7戦もして1勝とさえない馬だったのに、距離が伸びてから急に2連勝、しかもいずれも圧勝。ブックメーカー凱旋門賞オッズで1番人気になるのもわかる勝ち方です。ディープがまた伝説を作ってくれました。英オークスはG1といっても賞金は日本のG3程度です。英国の凋落を示していますが、歴史と格式はありますし、この英オークスを数年前にやはり圧勝したエネイブルが凱旋門賞を2連覇しているので、期待は持てますね。次のアイルランドオークスが試金石でしょう。今回は特に大差がつきやすい道悪であったこと、既に9戦も使っているので疲労が心配な事、オークスでは直線で2回程他の馬にぶつかっており、気性が少し荒そうな事などを考えると今後も盤石とは未だ言えないと思うものの、日本以外でもディープ産駒の活躍が見れるなんて、楽しみが増してきました。