秋華賞を前に

今週からG1が3週連続で続きます。そして改修前の最後の京都でのG1が2つ、まずは秋華賞。デアリングタクトの3冠達成が注目されており、ぶっつけ本番にもかかわらず圧倒的な人気を集めそうです。Deepファンの私は当然ながらデアリングを応援していません。といっても彼女の強さは圧倒的であり、旗色が悪いことは確かですが、あえてデアリングの弱みを探してみることにします。

 

血統的には近親交配が非常に強い馬で、サンデーサイレンス4×3、Northern Dancer 5×5×6×7、Hail to Reason5×5×6。気性が激しいのは頷けます。そのような中、この馬の毛色は鹿毛だと思っていたのですが、青鹿毛とのこと。ということは、サンデーの血がクロスして強く出たのかもしれません。ちなみにもう1頭の3冠候補コントレイルも青鹿毛で、こちらも芦毛色の強い母系にかかわらず、サンデーの生まれ変わり(気性はディープ)のようです。今年は2頭の青鹿毛(サンデーの化身)無敗3冠馬が生まれるという何とも不思議な年になるかもしれません。

 

サンデーが強く出ているとなると、距離に不安があるかもしれません。現にオークスは危なかったですから。2,000Mは優に持つでしょうが、その後ジャパンカップを考えているとなると、そこでは切りたい1頭です。実際、彼女が強い勝ち方をしたのは未だマイルだけですので、もしかしたらマイラーなのかもしれないというほのかな期待(デアリングファンにはごめんなさい!)があります。一方のコントレイルは大丈夫でしょう、気性が非常にいいですし、体型もスマートで長距離向きになった感があります。ダービーの圧勝ぶりから、距離が全く不問であることは明らかです。しかし、父ディープは、菊花賞の着差2馬身差はが3冠でつけた一番少なかった着差でした。最初の直線でひっかかり、最後もアドマイヤジャパンを抜くのに手間取った印象がありました。コントレイルも、勝つには勝つでしょうが、あまり大きな着差にはならないと予想します。むしろその先にJCまたは有馬記念に使うであろうことを考えると、同期の戦いであり彼にとっては調教感覚で走れる菊花賞は、無理する必要がないと考えます。シンボルルドルフも菊花賞は確か3/4馬身差での勝利でした。同期のライバルが(サリオス以外は)あまりに弱いので、大差がついてしまうおそれもありますが、むしろ神戸新聞杯と同じく余力残りで勝った方が今後のためにはよいでしょう。

 

話がそれましたが、デアリングタクトの弱みは、血統面(強い近親交配による気性難とサンデーの距離不安)、オークスの辛勝であったレースぶりの他、やはり”関係者”でしょう。伝説になるような馬は、普通は経験豊富で腕利きの騎手と厩舎から生まれます。杉山調教師、若い割にはケイティブレイブなどいい馬を出していますが、いかんせん3冠馬を出すには経験が浅すぎますねえ。。松山騎手、こちらも確かに若手ではぴか一の腕をもっており、今年はリーディング上位に来ておりますが、こちらもやはり若すぎます。。どう考えても、無敗の3冠馬にふさわしいコンビではないのが、どうにも気になります。無敗の3冠馬という大きなプレッシャーは、彼等に重くのしかかっているでしょう。

 

やはり私としては、まずはリアアメリアに期待します。ローズSの勝ちっぷりは見事でした。元々新馬でぶっちぎった素質馬、デアリングタクトを破っても何も不思議はありません。但し、気になるのはこの馬の体が立派すぎること。どうも、偶然かもしれないですが、中内田厩舎のディープ産駒は筋肉隆々の馬になってしまいますね。鍛えすぎなのではないでしょうか。矢作厩舎のように、リスグラシューやコントレイルなど、スマートに長距離仕様に馬を作ることができないのでしょうか。この厩舎(+川田騎手)の成績がトライアルではいつも抜群なのに、本番では(2歳戦以外)さっぱりなのもすごく気になります。

 

まあ、ディープ産駒は6頭も出てますので、他の5頭にも期待です。特にサンクテュエールとミヤマザクラ。前者は、シンザン記念の強い勝ちっぷりから、牝馬限定であればG1でも通用するはずです。ずっとルメールが乗り続けている事から、ポテンシャルも高い筈。1発があってもおかしくありません。後者も、福永騎手騎乗の内枠で、前のこりになれば面白い存在です。

 

一方、キズナ産駒も4頭出ますが、何といってもマルターズディオサ。紫苑Sの先行抜け出しのレースは強いものでした。その後の調教も順調ですし、あれを再現出来れば、本番も相当期待できるでしょう。キズナ産駒は既に重賞を多く制していますが、まだG1勝ちがありません。やはりG1馬を複数出せるのが一流の種牡馬の条件ですので、何とかキズナ産駒にも頑張ってほしいものです。