種牡馬の成績

1週前の宝塚記念でグローリーヴェイズがあまりにも不甲斐ない走りで落胆し、しばらく競馬を忘れ仕事に専念しておりました(ホントかよ)。直前に降ったスコールで馬場が悪化してしまったとはいえ、スタートで出遅れ、途中もちっとも進んでいかず、3コーナーからレーン騎手が大外をしごいて上がっていき、直線では力尽きていたという全くチグハグな競馬でした。まあ、サートゥルナーリアを最後にディーププリランテ産駒のモズペッロ(同世代)がきっちり差して3着が、唯一の救いでした。

先週末は、2重賞とも人気薄の逃げが決まってしまい、今一つでした。馬場が悪いからこその結果であり、この時期は仕方ないところではありますが。ラジオNIKKEI賞ではキズナ産駒ルリアンにひそかに期待しましたが、大外を回るも直線は伸びず5着でした。一方ディープ直子のディープキングは内をそつなく回り3着。さすが戸崎騎手です。

さて、コロナ禍で激変の2020年ですが、お蔭様で競馬は続き、上半期を終えました。ここで7月6日現在の種牡馬ランキングをみると、ディープの独走は当たり前として、4位にオルフェーブルが上がってきた(2019年は総合10位)のと、3歳・2歳世代だけのキズナとエピファネイヤの健闘が眼をひきます。特にキズナは総合9位に入っており、勝ち馬率ではディープ(32.0%)を抜いてベスト20馬でトップの32.2%と大健闘しています。この調子ですと、ディープの後継種牡馬として、数年後のリーディングもあるかもしれないと期待してしまいます。今後の課題は、G1勝ち馬がいつでるか、それと産駒の成長力でしょう。先週末は1勝もできませんでしたが、エピファネイヤ産駒は条件戦とはいえ古馬混合の特別レースを2勝しました。これまでは、デアリングタクトを除けばキズナの完勝といえますが、逆に言えばデアリングのような超強い馬を未だキズナは輩出できていません。産駒の成長力については、自身が4歳以降G1を勝てなかった(勝利も確か昇格以前の大阪杯1勝のみ)ことと、ディープ系であることから、少し心配があります。しかし、エピファネイヤとて古馬になって勝ったのはジャパンカップのみ(圧勝でしたが..)ですから、気まぐれなエピファネイヤごときに成長力で負けてはなりません。

ところで、キズナ種牡馬としての成功は、勿論自身の能力と強さ(受胎率がすごく高いらしい)によるでしょうが、母方の血統も寄与しているように思えます。何せ半姉は2冠馬でG13勝のファレノプシスですし、祖母はPacific Princessですから、ビワハヤヒデナリタブライアンが従兄になります。ビワハヤヒデナリタブライアンの2頭は言うまでもなく、1993年、1994年の各年度代表馬です。これほどの馬を2年連続で(違う父で)送り出したパシフィカスという母馬に畏敬の念を抱きますが、その母Pacific Princessの血がキズナを通じてよみがえっている可能性もあります。母方の良さを引き出すディープとのミックスで、この血統に更に魅力が上乗せされている可能性もあり、血統というのは私のような素人にとってもロマンですね。ちなみに血統表をみると、1973年生まれのPacific Princessは、1981年にパシフィカスを産んでから9年後の1990年、17歳でキャットクイルを産み、そのキャットクイルは1995年にファレノプシスを産んでから15年後の2010年、20歳でキズナを産んでいます。ナリタブライアンは早世してしまいましたが、基本的にはかなり丈夫な母系のようです。キズナも、長生きして頑張ってほしいものです。

2020年の2歳戦は始まったばかりですが、キズナ産駒が早くも3勝、賞金ではトップにたっています。しかし出走回数で稼いでいる感もあります。しかし、キズナ(18回)より出走回数が多い2頭、モーリズ(21回!)とエピファネイヤ(19回)は未だ勝ち馬がゼロと不振です。特に、鳴り物入りでデビューしたモーリスの不振が目立ちます。まあ、ずっと0勝はありえないので、これから勝っていくでしょうが、この低勝率は関係者にとっては大誤算ではないでしょうか。もともと、モーリス自身が晩成型の馬でしたので、早い仕上がりが要求される今の時期の新馬戦は向いていないのかもしれません。キンカメの後継種牡馬として期待だったドゥラメンテも僅か1勝と今の所不振ですね。その一方やはり驚嘆すべきはディープで、わずか8回の出走で既に4勝しています。日本を背負って立つような大種牡馬になるには、ディープまではいかなくとも、やはり相応の勝率とE.I.が望まれます。今の所、ロードカナロアハーツクライも到底それらを満たしていません。その意味でも、キズナには期待したいのです。少なくとも、コントレイルの産駒が出てくるまでのツナギという言い方は、ここまでのキズナ種牡馬実績を見る限り失礼になりますが、一度は本当にリーディングをとってほしいですし、ディープ産駒がいなくなった後は、とれると思います。